鮒寿司
ブログのバナーは、何の写真なの? そんな質問にお答えします。
鮒寿司になりたい。私はそう思っている。
鮒寿司は1500年の歴史を誇る日本の伝統食であり、近江を代表する郷土料理である。同時に、鮒寿司は強烈な匂いが著名である。時に味覚が鈍った人間は悪臭と錯覚する。ゆえに、食わず嫌いも多い。しかし、鮒寿司を一度食した者は、その香味の虜、リピーターとなる。鮒寿司は店により、家庭により、微妙に味が違う。作り手が違うのだから、個性が出るのは当たり前のことだ。逆に、他者との差異が旨味に通ずるのかもしれない。鮒寿司は、長い歳月をかけて熟成した食物だ。寒の最中に琵琶湖の鮒を仕込み、暑い夏を越す。初めて食するのはほぼ一年を費やした翌年の正月である。ファーストフード全盛時代に逆行する、まさにスローフードの代表的食物だ。これからの時代はITではなく、FTの時代だという学者がいる。FTとは[FermentationTechnology]、発酵技術のことである。そう考えると、日本食の味噌、醤油、酒はすべて発酵技術の賜である。鮒寿司は勿論のことだ。
マチも鮒寿司と同じではないか。町衆が情熱を滾らせた活動は、グツグツとした発酵に例えられる。やがて活動は、独自の匂いを醸し出す発香につながり発光に昇華する。これぞ本物の観光ではないか。鮒寿司は万人向けではない。好き嫌いが明快である。マチもそうあって良いと思っている。心から愛する人がいれば、決して八方美人になる必要はないと。鮒寿司は、近江、長浜、そして自身の理想像である。
記し忘れたが、鮒寿司は雄に限る。雌の美しい卵に騙されてはならない。見た目でなく、本質を味わってもらいたい。


コメント
腐っても鯛。腐ってこそ鮒。それにいたしましても、鮒寿司といい千代様といい、素晴らしきものは飯で育まれるものでございまするなあ。
投稿者: 翁恵 | June 7, 2006 10:54 PM